TIGER & BUNNY 第17話「Blood is thicker than water. (血は水よりも濃い)」

TIGER & BUNNY 第17話「Blood is thicker than water. (血は水よりも濃い)」

　傷ついた虎は故郷へと帰る。能力の減退に悩むワイルド・タイガーこと鏑木虎徹は、母と娘の住む故郷へと向かっていた。なぜかバーナビー・ブルックス・ジュニアのサイン入り写真集を持って。

ネタばれ感想文

　鏑木酒店のロゴ入りバンで虎徹を迎えに来てくれたのは、兄の鏑木村正だ。虎徹を自宅に降ろすと、自分はすぐに配達の続きに戻ってしまう。真面目なのだ。
　そして久しぶりの自宅。しかし人の気配がない。家じゅうを探し回り庭へと出ると、そこにはキャベツの手入れをする母、鏑木安寿の姿があった。娘の楓はまだ学校から戻らないらしい。

　そして虎徹は、無人の娘の部屋に勝手に侵入、それだけにとどまらず、机の引き出しを勝手に開けてしまう。
　ちょうどそこに楓が帰宅。虎徹は歓迎される態勢なのだが、勝手に机の中まで漁られた楓は怒り心頭。変態！と罵られ、部屋の外に追い出されてしまう。

　晩ご飯の席でも楓の怒りは続いている。それもそのはず。虎徹は無断で部屋に入ったことを謝ってもいないのだ。母の助言を入れて、娘の部屋に謝罪に行くも、許してはくれない。とっておきのバーナビーのサインを渡すも、それはそれと言われてしまう。


　いたたまれない虎徹は、ひとり兄の店へと行く。村正は心配して虎徹に悩み事を打ち明けさせようと話を振るが、虎徹は口を割らない。それに業を煮やした村正は、虎徹と真正面からぶつかる。
　ようやく能力減退の話を身内に出来た虎徹。それに対し村正は、能力がなくなってもお前の全てがなくなるわけじゃない、と慰める。

　思い出すのは虎徹の妻、友恵がなくなった時のこと。病床にあった友恵は、自分の側にいようとする虎徹を叱咤し、どんな時でもあなたはヒーローでいて、と言い残す。その言葉を受けて出動した虎徹だが、人命救助の直後に聞いたのは、妻の悲報だった。どんな時でもあなたはヒーローでいて。それは友恵の遺言となった。

　そんな夢から虎徹を覚ましたのは、楓の悲痛な声だ。安寿が倒れたらしい。慌てて駆けつける虎徹だが、病状はただのぎっくり腰。大したことはないので学校に行けという虎徹に対し、渋る楓。その楓を叱って学校へと行かせるのだが、楓はパパは何も分かっていない、といい怒ってしまう。

　鏑木家の墓の前に座る兄弟。兄の村正は、なぜ今朝、楓が起こったか分かるか、と虎徹に問う。楓にとっては安寿はただひとりの一緒に暮らす肉親。もし彼女に何かあれば、楓は一人ぼっちになってしまう。楓はそれを恐れているのだ、と。
　自分は何も理解していなかったことにまた気づかされる虎徹。おそらくは妻の友恵が、虎徹が何も考えなくてもよい様な、素晴らしい妻だったのだろう。しかしその友恵がなくなってからも同じままでいた虎徹が良くなかった。


　そして突然の雷雨。祖母の回復祈願に神社にやってきた楓は、落雷と倒木でお社の中に閉じ込められてしまう。
　いつまでたっても帰って来ない楓を案じ、虎徹は楓を探しに飛び出す。途中で合流した村正と共に探すのだが、いつまでたっても見つからない。

　ここで虎徹が能力を発動、強化された聴力で楓の声を探る。そして神社に飛び込んだ虎徹は、お社の入り口をふさぐ木々をなぎ倒し、楓の許へと駆けつける。

　そして足早の帰京。虎徹はヒーローを辞める覚悟を決めた。これからは楓一人のヒーローとして生きる覚悟を決めたのだ。
　そんな虎徹を見送りに来た安寿と楓。楓は走り去る電車に並走し、ホームの端まで来てしまう…のだが、そのまま走り続ける。彼女も能力を発動させていたのだ。

　やはり楓は自分の娘。そんな気持ちを抱えて、虎徹はシュテルンビルトへと戻っていく。