バカとテストと召喚獣にっ！ 第11話「雄二と翔子と幼い思い出」

バカとテストと召喚獣にっ！ 第11話「雄二と翔子と幼い思い出」

　水無月小学校には神童がいる。当時５年生だった坂本雄二は、周囲の子どもたちよりも頭が良く、そしてその周囲に等しく関心がなかった。そんな彼にいつもまとわりついていたのは、あまりにもスペックが高過ぎて周囲から浮いていた霧島翔子だった。
　しかし、雄二のそんな態度は自然に敵を生む。特に、彼に見下される上級生の反感は、彼だけでなく、その周囲にも及ぼうとしていた。

ネタばれ感想文

　霧島翔子は如何にして坂本雄二を愛するようになったか、という小学生時代のエピソードを紹介した回だ。このため基本的に登場するのは、坂本雄二と霧島翔子、そして雄二の母の雪乃くらいである。

　見下していた上級生からの、雄二の所有物にいたずらをするという反撃もコントロールし、むしろ逆にダメージを与えようとした雄二の戦術ではあったが、そこには彼が見落としていた要素があった。それは、彼の物が傷つけられる場面を見た人物が止めに入って巻き込まれることだ。
　当時の雄二は誰にも関心がなかった。だから誰かが自分に好意を寄せるということを本質的に理解できなかった。もしそれが理解できていれば、翔子が巻き込まれない様に、事前に手を打つことも出来たはずだろう。なぜなら、そんな場面を見れば、翔子が黙っているはずがないことが分かるだろうから。

　そしてそれは起きた。翔子が雄二のために上級生３人にいじめられている。その場面を目撃することになった雄二は、葛藤にさいなまれる。いくら見下しているとはいえ上級生だ。体格は雄二に勝る。そしてそれが３人もいる。力の勝負になれば勝ち目はない。
　だが、先生を呼んでくれば、翔子がいじめられていることがばれ、それを心配した保護者が翔子を転校させてしまう。自分でその引き金を引くのは嫌だ。そう考えた雄二は、翔子が助けを呼んでくれれば良いと願う。そうすれば、たとえ転校することになったとしても翔子の責任になるからだ。

　助けを呼べ、助けを呼べ。雄二の声なき悲鳴が響く。しかしその願いは、翔子の、転校したくない、という言葉で霧散する。そして雄二に決断の時は来た。
　ここで雄二が見て見ぬふりをすれば、今頃良い学校で優等生をしている雄二がいる未来があったのかもしれないな。