あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第5話「トンネル」

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 第5話「トンネル」

　ワンピースを着てめんまになっていたゆきあつ。それを薄々感じながら一緒に買い物に付き合っていたつるこ。彼らの時間はあのときに止まったままなのかもしれない。

ネタばれ感想文

　でもそれは徐々に動き始めて、高校生になった彼らの、めんまを欠いた彼らなりの関係に変わっていくはず。ゆきあつはそういう風に動き始めたようだ。

　なぜめんまがいまになって出てきたのか。それはめんまにも分からないし、じんたんにも分からない。ぽっぽはめんまが見えないから、めんまの気持ちを推し量って動き出そうとするけれど、そのスピードにはめんまもじんたんもついてはいけない。
　彼らが離れていた間に、彼らの中で流れる時間のスピードが変わってしまっているのだ。特にぽっぽは、ほとんど立ち止まることもなく、かれら５人の中で最も普通どおりの時間を生きているから。

　現在の学校の友達のペースに合わせて生きようとしていたなるこだが、再びじんたんたちとの時間が動き始めたいま、そのペースのずれは彼女の中で処理しきれないものになってきつつある。これまでは何となく流されていたことが、何となく流せない様になって来る。そして周囲は、どちらの流れを選ぶのかを、無言のうちに強要してくるのだ。


　とまって淀んでいた水が流れ始める。それは流れを速めるのか、あるいは…？